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財務経営情報

事業承継に超有効!使わない手はない種類株式と属人的株式とは

事業を次世代に引き継ぐ、事業承継。
多くの中小企業が抱えている課題の一つです。
昨今はスモールM&Aも流行っており、会社を売却するという選択肢もあります。

しかし、計画的に取り組んでいる経営者は、そう多くないと実感しています。
ギリギリになって、慌てて外部に相談されるケースが、ほとんどではないでしょうか。
だって、別に日々の経営では何も困りませんからね。

でも、早くから対策に取り組んだ方が良いのは間違いありません。
後継者を育成したり、組織内でポジションを確立するのは時間がかかります。
それだけでなく、早めに対策に取りかからなければ「経済的に」大きな損失を、将来被ってしまう可能性があります。


会社の株価がいくらか、把握していますか?

非上場会社の株価は、決まったルール・計算式で算出されます。
細かい内容は別の機会に書こうと思いますので、ここでは概要だけ。

まず、株を引き継ぐ相手が親族の場合、株価は高くなります
次に、会社の規模が「小さい」会社ほど、株価は高くなります

つまり、状況次第で、株価は変わってくるんです。

親族内承継なら、株価を下げる対策を取る

ほとんどのケースでは、ご子息など親族が後継者になることが多いと思います。
この場合、「資産が多いほど」「利益が多いほど」株価が高くなります。
つまり、親族経営で会社の規模が小さい、そして儲かっている会社ほど、株価が高くなるんです。

株は、相続税や贈与税、譲渡所得税の対象になります。
株価が高いほど、株を渡すときにかかる税金が高くなるということです。

利益が出ていて、それが蓄積されて資産もたんまりある。
こんな会社の経営者に、相続が発生したら。
いざ、後継者に株を引き渡そうと思ったら。
想像を絶する税金が、後継者に襲いかかる可能性があります。

中小企業の株式は、「経営権としての価値」しかないことがほとんどです。
つまり、払うお金がないのに莫大な税金を支払わなければならない可能性があるという事です。

なので、後継者はまず納税のためのお金を準備しておく必要があります。
そして、その株価そのものを引き下げる対策が必要になってきます。

株を後継者へ渡すのに引退まで待つ必要はない

あらかじめ株価を下げていけば、計画的に後継者へ「事前贈与」や「譲渡(売却)」をしていく事が可能です。
この対策には、全額が会社の経費となる簿外資産や、資産評価額を引き下げる商材などが使えます。

でも、次のように思っている社長、多いのではないでしょうか?
「株を後継者に渡してしまったら、自分は事実上の引退じゃないか!」
「後継者に経営の全てを任せるのは、まだまだ早い」
「だから、自分が会社を引退するまで、何なら死ぬまで、株の大半を持っておくしかない」

・・・大丈夫です。解決できる方法がちゃんとあります。
それは、「株に色をつけてから、後継者に渡す」んです。

株に色をつけられる「種類株式」

普通の株式とは違う内容の株式をつくることができます。
特に事業承継で使えるものをピックアップしておきます。

1)剰余金の配当
配当を普通の株より多くもらったり少なくしたり、または無しにしたりできます。
事業承継で使う場合、「2)議決権の制限」と組み合わせて使うケースが一般的です。
例えば、経営に関与してほしくない後継者以外の相続人に、配当をあげて代わりに無議決権にするんですね。

2)議決権の制限
株主総会の議決権を無くしたり、制限をつけることができます。
事業承継では、後継者に譲渡する株を無議決権としておけば、社長が重要事項を全て決めることができます
「税金対策で株は後継者へ渡していくけど、重要なことは当面自分が全て決める」みたいなケースで役立ちます。

3)譲渡制限
株を他人に渡すためには株主総会の承認が必要であるという条件をつけることができます。
非上場会社であれば、この制限をつけているのが一般的です。一度、会社の定款を確認してみてください。

4)取得条項
会社が株主から強制的に買い取る条件をつけることができます。
例えば、後継者以外から相続を条件として会社が株を買い上げることができます。

5)拒否権
この株を1株でも持つ株主は、株主総会等の決議を全て否決できるという、強力な権利です。
なので「黄金株」とも呼ばれてます。
これを現経営者が持っておけば、「おおよその経営は後継者に任すけど、いざとなったら口出しするよ」という体制が作れます。

6)役員選任権
重要な決議事項である役員選任を独占できる権利です。
これも「後継者に経営は任すけど人に関する事は私が決める」という体制を作れます。

登記が不要な「属人的株式」

種類株式との違いは、株ではなく「人」に対して権利をつけることができることです。
そして、登記が不要で定款変更のみでOKというところです。
場合によってはこっちの方が、手続きが簡単なので使いやすいかもしれないですね。
3種類ありますが、特に事業承継で使えるものは、これです。

株主総会議決権

「持株数が同じでも、特定の株主は他の株主より議決権が多い」という体制を、定款変更で作れるんです。
登記しませんから、余計な費用もかかりませんし、外部に知られることもありません。
例えば、「代表取締役は議決権が普通株の3倍ある」みたいに。
こうしておけば、「後継者に株を渡しつつも、社長を引退するまではまだまだ自分が決める」という体制が作れますね。

まとめ

いかがだったでしょうか。
複数を組み合わせて、自社に合った設計をすれば、とても有効に機能します。
こういった制度を知らず、株式の移転をためらってしまっている社長、多くいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん、事業承継は税金対策だけで決めるものではありません。
ですが、しっかり計画を立てて早めに手を打っていかないと、莫大な税金を無駄に払わないといけない可能性があるわけです。
下手したら、経営そのものに影響を及ぼすなんて事態にも、なりかねません。

そうならないためにも、早めの対策をお勧めします。

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