ドローンを使った法人税の節税。
所得税の節税にも使え、大変使い勝手のよいスキームだったため、大流行しました。
しかし、建築足場やLED照明を使った節税スキームとともに、残念ながら、令和4年4月をもって使えなくなりました。
そのスキームについて解説します。
有効な節税スキームは、まだまだあるんですけどね。
項目
購入価格の全額が即時償却できた
取得価格が10万円未満の少額の減価償却資産は、全額が経費で落とせます。
机やパソコンなど、比較的安い事業資産は全部経費で落としていいよ、という仕組みです。
ドローン節税で使われたドローンは、1台あたりの単価が10万円未満なんです。
これを何十台、何百台と購入するわけです。すると、何台買おうが、全額が経費で落ちます。
購入した分だけ利益が減りますから、その分、税金を払わなくて済むんですね。
レンタルで貸して、収益を得る
このままだと、単に安いドローンを大量に買っただけですよね。
ドローンマニアならともかく、事業で活用しないと意味がありません。
ではどうするか。
購入したドローンを、事業者に貸し出すんです。
ドローンを貸し出したレンタル料金として、投下したキャッシュを回収していきます。
そして驚くべきは、そのリターンです。
購入価格に対して、1年でなんと約103%の収益率になります。
つまり、増えて戻ってくるんですよ。1年で。
1,000万円を投資したら200万円の節税+30万円のリターン
レンタル収益は投資元本に対して3%のリターンです。つまり、運用として30万円増えます。
・・・・単に預金で寝かせていたら、あり得ない数値ですよね。
また1,000万円の利益に対する税率が仮に20%とすると、ドローンを購入していなければ、200万円の税金が取られていました。
これが丸々浮くわけです。
ただし、1年後に1,030万円になって戻ってくるわけですから、200万円の税金を1年先に繰り延べた、という事になります。
税金で無くなってしまうくらいなら来期の事業資金に回したい、なんていう場合にとても有効に機能しました。
ドローン節税をやった結果、事業に回せるキャッシュが200万円増えることになりますから。
こういった繰り延べスキームの場合、浮いた税金も回収する、つまり出口戦略とセットで考えることがポイントです。
そうしないと、延々と繰り述べることになります。キャッシュに余裕があるなら、それも有効ですけど。
リスクは事業者が倒産してしまうこと
こんなに美味しいスキームなので、オーナー経営者を中心に大流行しました。
建築足場やLED照明もスキームとしては同じなのですが、リスクがもう一つあったんですよね。
それは、運用リスクです。
足場やLEDは、それを貸し出す現場や事業者を見つけてきて、レンタル収益を出さなければなりません。
貸し出す先が少なければ、レンタル収益が減ってしまうわけです。
税金は浮きますが、投資元本を回収できるかどうかというリスクがあったんです。
しかしドローンの場合、販売した事業者がそのドローンをそのまま借り受け、購入者にレンタル料を払うというスキームでした。
つまり”貸出先がない”という運用リスクがないんです。
しかし、この事業者自体が倒産してしまうと、当然資金は回収不能になりますから、これが最大のリスクでした。
事業内容を確認して、信頼して投資するに値するかどうか、この判断が求められます。
情報は使ってこそ価値がある
このように、ドローン事業者がうまく回ってさえすれば問題ないというスキームでした。
しかし、当然のように規制がかかります。節税はいたちごっこです。
基本的に、税制改正は”過去にやった事も違法だから税金を追徴するね”という、遡及適用はありません。
だって、後出しジャンケンになりますから。その時点で適法だったものが後から違法ですとは、原則ならないです。
(法人保険の名義変更プランは”法律”ではなく”通達”の改正だったため、遡及されてしまいました。これは別の機会に)
ですので、情報を知って、理解して、腹落ちした時点で、これを実行に移したか移さなかったか。
手元に残るキャッシュに、大きな違いが生じています。
私の知る範囲でも、1億円でドローンを購入されたオーナー経営者様も、実際に何人かいらっしゃいました。
1億円だと、運用リターンは300万円。税率が20%なら、浮く税金は2,000万円です。
・・・・・家が買えます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
・購入価格の全額が経費で落とせる
・1年で資金回収可能、しかも増えて戻ってくる
・リスクは事業者の倒産による資金回収が不能になること
・節税はいたちごっこだが、やるかやらないかで大きな違いが生まれる
節税スキームは、資金使途や出口戦略を組み立て、将来を見据えてプランニングする事が、とても重要です。
またしっかりしたスキームなのかどうか、その判断の目利きとなるサポート、これもとても重要です。
ドローン節税は封じられましたが、有用な節税スキームは、まだまだ存在します。
ご検討の際は、ぜひ弊所にお申し付けください。