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財務経営情報

節税は法人税、所得税、社会保険料。三位一体で対策を考える事が重要です!

”節税”と聞いて、社長が一番気にしているのは、”法人税”ですよね。
「税金で無くなるくらいなら、役員報酬をもっともらおう」
こんなケース、よくあるんじゃないでしょうか?

でもですね。
現金が社外流出してしまう要因は、法人税の他にもあるわけですよ。

社長がもらう役員報酬には、所得税・住民税、そして社会保険料がかかります。
配当をもらっていたり、不動産からの収入があれば、これらも考慮する必要があります。

つまり「今期の利益をいくら削れば、法人税がいくらに収まる」、これだけ考えていては、ダメです。
社長の手取りを効率的に増やし、会社の資金繰りを改善するためには、総合的に考える必要があります。


法人実効税率は約22%〜34%

中小企業の法人税等の実効税率は、現時点だと、以下になります。

※令和5年4月時点

所得金額 実効税率
400万円以下 約21.4%
400万円超〜800万円以下 約23.2%
800万円超 約33.6%

例えば2,000万円の利益だと、約680万円の税金が取られます。
この税金を減らすために、利益を減らすわけですね。
でも、無駄な経費を増やして利益を減らしても、かえってお金が減るだけです。
なので、有効にキャッシュを貯めることができる手段を使って、利益を減らすのが節税の王道です。

ここでよくあるのが、“何も考えずに“役員報酬を増額してしまう事です。

所得税・住民税は15%〜55%

所得税と住民税をあわせた税率は、現時点では以下の通りです。

※令和5年4月時点

所得金額 税率
194万9,000円以下 15%
195万円〜329万9,000円以下 20%
330万円〜694万9,000円以下 30%
695万円〜899万9,000円以下 33%
900万円〜1,799万9,000円以下 43%
1,800万円〜3,999万9,000円以下 50%
4,000万円以上 55%

仮に2,000万円の利益が出るので、法人税等の節税のために、2,000万円を役員報酬で払ったとしましょう。
この場合、法人にかかる税金はゼロになり、680万円の税金を払わずに済みました(実際は法人住民税の均等割等を払う必要がありますが、便宜上、ゼロとします)。

しかし、役員報酬には所得税と住民税がかかります。
所得税の控除額を引くと、払う税金は、単純計算で約720万円です。

実際は各種控除を引けますのでもっと税金は低くなりますが、役員報酬でもらった方が払う税金が多くなってしまいました。

役員報酬は、会社と社長・ファミリーのプランニングで決める

「じゃあ役員報酬は低めに抑えた方がいいのか?」というと、そうとも限りません。
会社の経営、事業計画、財務状況、社長の今後の資産形成などを考えて「どうしていきたいか?」が重要です。

社長が資産形成をしていきたい場合で、会社にしっかりと利益が出ているのであれば、臆せず役員報酬は高く取るべきです。
もちろん、出張手当や社宅など、会社に経費をつけることができる手段は、全て活用します。
やるべき事をやった上で、税金を気にしていつまでも役員報酬を安く抑えていては、資産を蓄えることは、いつまでもたってもできません。

逆に、会社の財務や資金繰りを厚くすることが先決で、銀行との取引にも交渉が必要なケース。そんな場合は、しばらく役員報酬は低めに抑え、無駄なキャッシュ流出を極力抑える方針を立てていく事が必要です。
利益がちゃんと出ていればいいですが、そうでない場合、銀行は必要以上に高い役員報酬を嫌がります。
ただこの場合でも、会社につけることができる経費は全て活用して、社長の手取りが最大限に増やせる工夫は取るべきです。

また事業承継が視野に入るステージでは、ファミリーへの相続や自社株の対策も検討しなければなりません。
社長の資産ポートフォリオ(現金、自社株、不動産など)から、ファミリー全体で税金対策を考えるべき場面です。
役員報酬は退職金や相続にも影響しますので、留意が必要になってきます。

社会保険料の負担率は約30%

税金対策をしっかり考えても、これだけではまだ足りません。
見落としがちなのは、社会保険料です。

※令和5年4月時点

健康保険料 約10%
介護保険料 1.82%
厚生年金保険料 18.3%
子ども子育て拠出金 0.36%

合計で、約30.3%です。
社会保険料は会社と個人で折半ですから、オーナーである社長の場合、全部負担しているわけです。
役員報酬には、所得税・住民税に加えて、この負担がのしかかる事を、忘れてはいけません。

仮に役員報酬が2,000万円だとしたら、所得税・住民税・社会保険料を合わせた負担率は、、、
社長個人の負担分で、約65%。会社負担分まで合わせると、なんと約80%です。
つまり、650万円が社長の手取りから引かれ、会社からも150万円が持ってかれるという。。。
(社会保険料には上限があるので、実際はもう少し安いです)

税金には各種控除があるのでここまで高くはなりませんが、相当な負担ですよね。
そりゃ、お金が貯まりづらいわけです。

まとめ

会社の節税対策は、社長の一存でコントロールができる対策を、基本的には取っていきます。
日常業務にかかる経費を決算対策として余計に増やすなんてのは、本末転倒ですからね。
なので、大きな節税は、「役員報酬の増額」と「節税商材を使った対策」になるわけです。

あわせて、しっかりと社会保険料を抑える方針を立てること。
ここまでやって、初めて有効に節税が機能します。

ちなみに所得税・住民税を削るためには、役員報酬を相殺するために”損失”をつくる必要があります。
現金を”お金を産む”現物資産に変えていきながら、節税をしつつ、資産形成をしていくわけです。

節税を考える際には、総合的な視点が重要になってきます。

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